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「未来を生きる君たちへ」感想
最初の15分で、これは!!!という映画でした。
社会派なテーマのスザンネ・ビア作品。4つ☆半
00
凶暴でまともに話が通じないモンスターに一方的にやられた時、一体どうすれば良いのだろうか?目には目をな復習か・・?というのを、アフリカと、デンマークとを同時進行で見せる。

見ながら、ビア監督ならではの、細やかな処にまで、よく目が届いているなぁ~と思うシナリオでした。
少年達の心の揺れや動きを捕らえて、非常に上手い!
映画を見ていると時々、ある人物の行動が唐突に感じる時があるけれど、この監督の作品は、ちゃんとそういう行動に出てしまう裏付けが有るのが好き。こうこう、こういう流れで、こういう心理状況になっちゃったから、こういう行動に出てしまった・・・っていうのが、納得が出来るんですよね。だから違和感感じずに、登場人物の心理をずっと追って見れる。
主人公の少年2人も、凄くピッタリ!だったし、控えめだけど不安を感じる音楽もとても良かったです。

クリスチャンが「最初が肝心だ。甘く見られないように・・・」ということで、イジメッコのボスにかなり暴力をふるう。結果的に、イジメはおさまるわけなんですよね・・・。
それにしてもデンマークでも先生達は、事なかれ主義なんですね・・・。イジメッコは放置で、イジメられてる子に転校をすすめる。

子供達はアホ車修理工の住所を突き止め、アントンは子供達を連れ、訪問する。「何故殴った?」と問うものの、修理工に一方的にまた殴られる。アントンは堂々と、その時の姿を息子たちに見せ、相手にする価値の無い人間だ、と言う。アントンの取った行動はまっとうなものだった。でも、なんだか子供達や見ている私達も、彼の行動や人間性を立派な大人の対応だと理解しつつも、スカッとはしない・・・。(少なくとも私は)
でも、あれ以上何が出来るだろう?

そして、そのアントンがアフリカで、ビッグ・マンに取った行動。
最初、こんな凶暴なモンスターを治療するのか?それとも・・と悩みつつも、結果的に医師としての仕事をまっとうしていたものの、さすがに反省の気持ちの全く無いビッグ・マンに遂に堪忍袋の緒が切れて・・・。
彼の取った行動は、倫理的に褒められるものではないが、せいせいした、これで少しは無駄な殺人が減るかも・・と思ってしまった自分がいました。(まあ、ビッグ・マンが死んだところで、別のモンスターが取って代わるだけかもしれないけれど・・)

★以下ネタバレ 白文字で書いています★
車を爆破する瞬間、ジョギングしている母子を発見して、セリアスは止めに入って大怪我を負う。母子が死んだり、セリアスが死なずに済んだのはほっとした反面、軽いケガで済んだというのが、少々甘いかな・・・とも思ったりもしました・・・。
私個人的には、昔「デスノート」で、極悪人は、どんどん死んでよし!みたいに思ってしまう処があるんですよね・・・。一部のモンスターの為に、世界中の大くの人たちが不幸な目に遭っている様な気がするので・・
以上

未来を生きる君たちへ (2010/デンマーク・スウェーデン) In a Better World 原題『復讐』
監督 スザンネ・ビア
脚本 アンナス・トーマス・イェンセン
出演 ミカエル・パーシュブラント / トリーネ・ディアホルム / ウルリク・トムセン / マルクス・リゴール / ウィリアム・ヨンク・ユエルス・ニルセン / ボディル・ヨーゲンセン / エルセベス・スティーントフト
【2012/03/05 15:40】  コメント(12) | トラックバック(9) | ドイツ・デンマーク
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コメント

悪いヤツを消してもまた悪いヤツは出てくるのが世の中。
『デスノート』は一見善行に見えますが、実は恐怖政治と同じことですからね。
憎しみの連鎖から逃れるには、キリスト教の原点に立ち返るしかないのかも知れませんね。
にゃむばなな  【 編集】  URL |   2012/03/05 17:33   |  TOP ▲ |


latifaさん、こんばんは! コメント&TBありがとうございました。
この映画、私もすごく考えさせられたわ。。
ホント、スサンネ・ビア監督の映画って脚本がよくできてるよね。
完璧な人間なんて、いないんですよね。。
でも、だからこそ一人ひとりが「よりよき世界」を目指して生きていくべきなんだと思います。
その「よりよき世界」ってのが何なのか、がまた難しい問題なんだけどね。。
いや、難しく考えずに、人に意地悪しないとか、ゴミは拾うとか、そんなレベルでいいのかもね^^
真紅  【 編集】  URL |   2012/03/05 22:45   |  TOP ▲ |


メチャクチャ好きな作品です。
子供たちと一緒に観て欲しいけど、きっと小さい子達は解らないと思う。でもいいんです。それでお母さんやお父さんが話して聞かせてあげれば。そうやって子供たちに少しずつ世の中を教えてあげることが大切なんだと思うのですよ。
最近はそういう作業が無いままに大人になる子が多いんだと思う。だからいきなり直面すると暴力に訴えるか、自分の心が折れてしまう。
極論すれば親はそれを教えればいいとすら思っています。
KLY  【 編集】  URL |   2012/03/05 22:52   |  TOP ▲ |


にゃむばななさん、こんにちは!
> 悪いヤツを消してもまた悪いヤツは出てくるのが世の中。
> 『デスノート』は一見善行に見えますが、実は恐怖政治と同じことですからね。
ほんとですよね・・・。
デスノートは最初の方は、おおー!って思ったのですが、あれはあれで、ダメですよね。。。

社会的に悪いヤツでも、とっても家族思いの優しい最高の人!って事もあるだろうし・・・、全て悪!死んでよし!って人間は、そうそう多く無いのかもしれませんね・・・。

でもなぁ~ キリスト教的な教えは、気高すぎて私には理解は出来ても、なかなか難しいです・・・
latifa  【 編集】  URL |   2012/03/06 10:27   |  TOP ▲ |


真紅さん、こんにちは!
スサンネ・ビア監督って、ほんとに凄いですよねー。
彼女は、こんなに凄い仕事をしているけれど、独身なのかな?それともご結婚されているのかな?
子供はいたりするんだろうか?などと、考えちゃったわー。
こういう立派な仕事をするとなると、そういう自分の家族とか生活とかに、つい手が回らなくなってしまうのも、致し方ない気がするんだよね・・・。そういう自分の仕事が順調かつ多忙な事で、何か失ったり、困った経験とかあるんだろうか~?

クリスチャン、凄く美少年だったよねー。
エリアスは、ほんとにやられちゃいそうなルックスだった・・。
あまりにリアルに感じさせられる役柄だったから(演じてるとは思えない、リアルにそういう人格なんじゃないか?って思えるほどのキャスティングだったから)今後の彼らの学生生活などに影響無いのかな?大丈夫かなぁ~なんて余計な心配しちゃった。
latifa  【 編集】  URL |   2012/03/06 10:34   |  TOP ▲ |


KLYさん、こんにちは!
これ、学校とかで是非生徒達に見せて欲しい映画ですよね。
見終わった後、感想など、色々討議するのも良いかも・・・。
解決策とかが、見いだせなくても、こういうのを考えるって事が大切だろうし・・・。

手術シーンとか、ちょっとうわっ・・・って映像があったけれど、
基本的にエロは無かったし、小学校高学年以上なら大丈夫な程度だった様な。

ビア監督、次回は、どんな作品を作って来るんでしょうか、楽しみだなー!
latifa  【 編集】  URL |   2012/03/06 10:40   |  TOP ▲ |


このお父さんの立派な人格には頭が下がります。
自分を殴らせ、そしてその姿を子供たちに見せる。
暴力は何も生まない。
それをしっかり叩き込ませる……凄いです。

でもそれに感動する一方で、わたしもビッグマンに対する報復はスカッとしてしまいました。
退治しなくてはならない悪もある、とこれもまた現実であり。

でも希望を抱いたラストに安堵しました。
今回も子供たちの演技、良かったですね。海外の子役はクオリティが高すぎます。
リュカ  【 編集】  URL |   2012/03/07 21:07   |  TOP ▲ |


リュカさん、こんにちは!

息子達から住所を教えられ、さて、この人はどうするのか?と思いきや、そう来たか・・・と、凄く考えさせられました。日本でもイジメ関連のドラマとか映画は多いけれど、父親がこういう姿を息子達に見せるっていう設定は、初めて見た気がします。
でも、すごく立派なんだけど、何かスカッとしないというか・・何かもっと良い解決策や対応は無いのか?と、考えてしまいました。
> 自分を殴らせ、そしてその姿を子供たちに見せる。

> でも希望を抱いたラストに安堵しました。
> 今回も子供たちの演技、良かったですね。海外の子役はクオリティが高すぎます。
そうですね。悲劇的なラストだと、後味悪いですもん。
子供達の演技は、とても自然で素晴らしかったです。
latifa  【 編集】  URL |   2012/03/10 22:24   |  TOP ▲ |


latifaさん、こんばんは~プチお久しぶりです♪( *^-゚)/⌒☆゙

スザンネ・ビア作品だから期待したのかな…。
ちょっと乗れませんでした。
そう、お父ちゃんが子連れで訪ねて行ったあの行為がね、共感できなかった。
親が殴られてるトコなんて、見たい子供いないでしょう。
子供の性格によっちゃ、一生、トラウマになりますよ(;^_^A アセアセ・・・
オリーブリー  【 編集】  URL |   2012/03/11 22:32   |  TOP ▲ |


オリーブリーさん、こんにちは!
いやいや~~実はね、これ見た後、オリーブリーさんちに、密かに、
お邪魔してたんですよー(^^ゞ
でも、これ、あんまりノレなかったみたいだったから、悩んだ末
足跡残さずに、立ち去っちゃったのヘ(^o^)

> そう、お父ちゃんが子連れで訪ねて行ったあの行為がね、共感できなかった。
> 親が殴られてるトコなんて、見たい子供いないでしょう。
> 子供の性格によっちゃ、一生、トラウマになりますよ(;^_^A アセアセ・・・
やっぱり、ここは、ちょっと色々考えちゃうシーンですよね。
どうやったら一番良いお手本になるんだろうね?
難しいわー。
latifa  【 編集】  URL |   2012/03/14 16:14   |  TOP ▲ |


latifaさん、こんにちは!

これレンタル店に無かったと言ってたけど、
私、間違えて随分前に借りに行ってたの(^^;
一年前のアカデミー賞外国語映画賞作品だから、
もうあるだろうと勝手に思ってた。
この前お店に行ったら、新作コーナーにあったので早速観ました。

とても考えさせられる内容でしたね~
イジメの事にしても修理工の事にしてもビッグマンの事にしても
善悪でパッと割り切れない問題ばかりなので答は出ないんだけど、
未来を担う子供達と考える事が大事なんでしょうね。
YAN  【 編集】  URL |   2012/03/28 17:42   |  TOP ▲ |


YANさん、こんにちは!
> これレンタル店に無かったと言ってたけど、
> 私、間違えて随分前に借りに行ってたの(^^;
> この前お店に行ったら、新作コーナーにあったので早速観ました。
そうだったんですねー。
私は見たい!と思っている映画は、レンタル日とか、小さい紙に
たまに書き留めておくようにしてるんですが、その紙をどっかにやっちゃって、忘れかえってる・・・とか、しょっちゅうです。

ビッグマン、こういうヤツやこういうヤツが所属するグループは、
どうにかならんのでしょうかね??
一部の人の為に、多くの人が被害をこうむる・・。

ところで、名古屋嬢ですが(^^ゞ 
そうそう盛るのとか、巻き髪は、今はだんだん減って来て
ゆる巻き?と、上品さ(ちょっとだけブランドを混ぜるだけに控える)を
ポリシーにする若い女性が増えているとか。
latifa  【 編集】  URL |   2012/03/30 11:34   |  TOP ▲ |


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