「光」ネタバレ感想
映画の音声ガイドという仕事について描かれていて、とても興味深かったです。 4つ★半以上
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河瀬直美監督の前作「あん」が素晴らしかったので、本作も見てみましたが、本作も凄く良かったです。
今まで、河瀬直美監督の作品って、あんまり自分には合わないかも・・・って思っていたのですが・・・。

本作は、目の不自由な人への「音声ガイド」という仕事に視点をあてて作られており、今まで誰も取り上げなかった、音声ガイドというところに着目したのは、ナイスアイディア(言葉は悪いけど・・)。
さて、この仕事、状況を言葉で表す作業とはいえ、情報過多や説明が行きすぎると、自分の主観の押し付けになる。空白、余韻を残しつつも、解りやすく状況説明する語りって、凄く難しいなあ・・・と、この仕事の奥深さに感心しました。

ところで、この映画、あまりよく内容を知らずに見たので、後からラブストーリーと掲げられていたことを知って驚きました。
最初からそれを知って見ていれば、そういう風に見れたと思うのですが、全くそういう意識無く見ていたので、途中から、まさか、この2人が!?って思いました。

最初は、いけ好かない奴って思っていたところが、彼の写真集を見て、中でも夕日の写真に心をわしずかみにされて、(最初の印象が悪かっただけに、そのギャップのインパクトもあったのかも)
彼女は幼い頃に父がいきなり行方不明になっ事に、とても大きなトラウマを抱えていて、若干ファザコン気味の処もあったと思われ・・・。
写真家として絶対必要な目を失って絶望しているであろう雅哉、普通に歩いたり生活するのも困難な彼を見て、大丈夫かな? 突然死んじゃったりしないだろうか?等と色々気になってしょうがない、ほおっておけない様な気持ちになって、つい後を追いかけたりしてしまったのかも。

普段つっけんどんでキツイ事を言う男が見せた、弱いところ(電車の中で、涙流して、彼女の手を握った処とか・・) 頼りなげに歩く姿とかも、彼女の心を動かしたと思うし、そして光や夕日に対する彼の考え方とかにも心通じるものを感じたのかもなあー。

というのは、見終わって、考えてみると・・・なのだけれど、実際の処は見ている最中は、そこまでガツンと恋愛感情への移行が解らなくて、夕日を見に行った時に、いきなりカメラを投げ捨ててからのキスシーンには、えっ?! そうなるの??って驚いたんですけどね。
正直、見終わった直後は、あのキスシーンは無くても良かったんじゃないか?とか、恋愛関係に移行する展開が早すぎないか?とか、そもそも恋愛関係になるってストーリーじゃなくても良かったんじゃないか?等と思ったのですが、今、こうやって書いていたら、やっぱり、絶望していた彼を、あそこまでさせる(カメラや写真を捨て、新たな一歩を踏み出させる。杖を使って歩く様になったしね)には、若い娘との恋愛という凄い出来事でもなきゃ無理だろうよ?って思う様に気持ちが変わりました。

とはいえ、単にラブストーリーな内容ではなく、ものすごく大切な何かを失っても、また新たな人生を・・・その先に光はある、というメッセージがある作品でした

★以下ネタバレ★
ラストシーンの音声ガイド、さんざん悩んで、どうなったかなあ・・・・って思っていたら、「じゅうぞうの見つめる先、そこに光」、って、素晴らしいじゃないですか!とても良い終わり方だった。
絶望していたであろう彼が、彼女という存在が現れて、良かったーー!これから生きる新たな希望になるよね。彼らに幸あれ!
以上

永瀬君の演技は「あん」もだけど、本当に素晴らしかった。良い役者さんだなあ。
そうそう、最後の方で、いきなり樹木希林さんのナレーションが流れてびっくり。

映画を見終わった後、ネットサーフィンしていたら、河瀬監督と永瀬君のインタビュー記事を発見、

本作を作るきっかけになった出来事が、
河瀬:『あん』のときに音声ガイドを制作して、初めて今作のモチーフになっている世界に触れたのですが、音声ガイドの皆さんの映画への愛に本当に感動したんですよ。その愛で、目の不自由な人たちに映画を届けようとして
って事だったようです。

河瀬:青年時代は田舎で天才的な絵描きとして期待されていたのに、東京に出てきたあとに失明してしまった、という人に出会いました。失明したときは、もう生きている意味はないんじゃないかと思ったとおっしゃっていて、本当に苦しんだそうです。
でも、「もう見えないんだ、そのなかで生きていくんだ」と思い至った瞬間からは、見えない世界での新しい生をまっとうされていて。文章で表現をされたり、ジムでウェイトリフティングにハマって才能を発揮されたり。何かを失ったあとでも、生というのは光と共にあると思いました。

それと、永瀬君の祖父のエピソードにも驚きました。
永瀬:僕の祖父は写真家だったのですが、友人の裏切りで、写真を諦めざるをえなかった人でした。
祖父も雅哉と同じように、写真を撮ることが難しくなってからの人生があった。むしろ、そのほうが長かった。

光 (2017/日)
監督 脚本 河瀬直美
出演 永瀬正敏 / 水崎綾女 / 神野三鈴 / 小市慢太郎 / 早織 / 大塚千弘 / 大西信満 / 堀内正美 / 白川和子 / 藤竜也

あらすじ
美佐⼦(⽔崎綾⼥)は視覚障碍者向けの映画の⾳声ガイドの仕事をきっかけに、弱視の元カメラマン・雅哉(永瀬正敏)と出逢う。美佐⼦は雅哉の無愛想な態度に苛⽴ちながらも、彼が撮影した⼣⽇の写真に⼼を突き動かされる。次第に視⼒を奪われてゆく雅哉。彼と過ごすうちに、美佐⼦の中の何かが変わり始めるーー。
【2017/12/17 12:53】  コメント(4) | トラックバック(0) | 日本映画
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コメント

目の見えない相手に、しかも不安で言葉が耳に入り辛い相手に、説得する有効な手段は、やはり少しでも恋愛感情のある相手なら、接吻はもっとも有効な手段ですよね。

頭で分からぬなら身体で教えたる!ってヤツですよ。

でも恋愛って、時にはそういうことも必要だと思うんですよね。
にゃむばなな  【 編集】  URL |   2017/12/17 23:53   |  TOP ▲ |


にゃむばななさん、こんにちは!
そろそろ今年のベスト映画も選ぶ時期になってきちゃいましたね。

> 頭で分からぬなら身体で教えたる!ってヤツですよ。
> でも恋愛って、時にはそういうことも必要だと思うんですよね。
おお!!(#^.^#)
本作の場合、行動に出た側というのが、一回りも若い美人の娘だったので、全く嫌らしさ?とか無く見れました。

あの後、もう一度映画を見直したんですが、友人からカメラを取り返した後彼女と電車に乗って手を握り帰りまぎわに、顔を触らせてもらい、(のちに最後の一枚になる)写真を撮影→ 脱力状態で部屋にこもりっきりになっていた処、彼女から夕陽へのお誘いが来て見に行ってカメラ捨てて、キス→かつての大事なネガやら一部写真を焼き捨てる→彼女に受け取ってくださいと、最後の写真が届く  って順番だったんですよね。

部屋に籠っていた時に、色々自分の中で問答し、もうカメラ人生を捨て去らなくちゃいけないかな・・って既に決意をしかけていたのかな・・・。
その後、夕日を見て、カメラ捨ててからの、あのキスで、その決意が決定的に確定?したのかなーと思いました。
latifa  【 編集】  URL |   2017/12/18 08:52   |  TOP ▲ |


こちらも。
↑のキスの解釈なるほどな~~って思いました
インタビュー記事も興味深かったです。
いろんな思いがわいてくる映画かな~~。
<映画の音声ガイドという仕事について描かれていて>これが一番の収穫でしたよ、やっぱり。それだけでも観る価値あるな===って。
教えてもらって良かったです。ありがとう~~

ところで、
あちらの記事もしっかりみていますが。
いいな~~~イタリア。2回目なのね。
写真で目の保養させてもらっています。
飛行機の時間もいろいろあって大変だったのね。外国旅行ってなにがあるかわからないのね
私は段取り悪いから乗り遅れちゃいそう。
引き続きみてかえるね~~~♪
みみこ  【 編集】  URL |   2018/01/29 15:11   |  TOP ▲ |


みみこさん、こちらにも、ありがとう!
これ、意外にも印象に残っちゃってね・・・
以前は、この監督さん、苦手だったのに。不思議だわー。

> <映画の音声ガイドという仕事について描かれていて>これが一番の収穫でしたよ、やっぱり。それだけでも観る価値あるな
そうそう、これだよね!!
今まで、全く気にも留めてなかった事だけど、注意してみると、こんなに深いんだーってね。

旅行の記事も見てくれてるんだね、ありがとうー!
いやー、ほんと疲れ果てたよ・・・
いまだに風邪スッキリ治ってないし、色々ダメージが・・・
もう遠いところへの旅行は、厳しいかもしれないな・・・。
latifa  【 編集】  URL |   2018/01/30 12:20   |  TOP ▲ |


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