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「パラサイト 半地下の家族」感想
遂にパルムドールか。 4つ★半
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このところ「ジョーカー」とか、こういった貧困の映画が話題になっていますが、本作は家族が仲良しなんですよね。お金持ちの家族も、貧困一家も。
そのせいでしょうか、ジョーカーみたいな底なしの絶望とか悲壮感は感じません。 

同様にパルムドールを取った、貧困家庭を扱った東洋の映画ということで「万引き家族」を引き合いにされる事が多そうですが、内容的には全然違った感じですね。私はどちらも面白く好きですが。

ただ、多くの日本人は後半のある部分について、とても冷静には見られないかも・・・

★以下ネタバレ★
誰それの紹介なら安心とばかりに、お金持ちママは、どんどん身の回りの人を安易に、貧乏家族の面々で採用していく。
ある夜、バーベキューに泊りがけで出かけたすきに、邸宅で思う存分羽目をはずす貧乏一家。そこへ桃アレルギーで辞めさせた前の家政婦さんが訪ねて来る。忘れ物を・・とのことだったが、じつは屋敷の地下には秘密部屋があって、そこに借金取りに追われている夫を4年間かくまっていたんです!(このおっちゃんが、世話になってるからとか言って「リスペクト」って、ご主人が帰って来たら階段の電気をおでこで順番に着けていたのは笑ったわー のちにこの電気がモールス信号として重要な役割を果たすんだけど
ここから、地下夫婦と、半地下家族のドタバタ劇、いきなり帰宅するとの電話で慌てて片付け、こっそり脱出シーン。
やっと家へ戻ったと思いきや、大雨で半地下の家が水浸しに・・・。そこから避難して大勢の人達と一晩避難所で朝を迎えた一家。そこへ金持ちママから、息子の誕生日パーティーをするから来てくれと、それぞれに要請が来る。
高台に住む彼女ら一家にとって、昨晩の大雨は取るに足らない事、むしろ雨が降って良かったかもーな発言も有り・・・。
もともと、前から「匂いが・・」と言われていたソン・ガンホ。その日は昨晩お風呂にも入れず避難所で朝を迎えたため、普段よりもずっと臭かったはず。

地下室から抜け出した地下室夫はナイフを持ち、ガーデンパーティーへ現れる。最初に娘をグサッと行き、その後貧乏母と格闘・・。現場は修羅場。それを見た金持ち息子は失神。15分経つ前に病院に運ばないと癖になってしまうらしく、車で運べと言われるが、車のキーは瀕死の地下室夫の体の下に。それを取ろうとしたが臭かったのか鼻をつまむご主人。それを見たソン・ガンホ、何かが切れてしまったようで、刺し殺してしまうのでした。

場面変わって、てっきり死んだと思っていた息子ですが、死なずに済んでいました。母と2人でなんとか生きてますが、父は行方不明。暫くは追い掛け回されますが、それも収まった頃、例の邸宅に夜行ってみたら、あのライトでモールス信号の点滅が!父が地下室にいることに気がつく。 そしてお金を一杯稼いであの邸宅をいつか買うという計画を建て、夢の想像シーンで父と再会し抱き合う。 ここで終わりかな・・というところで、冬の現実シーンがまた写る。これが現実。そんな夢は、きっとかなわないであろう・・・。
以上

ポン・ジュノ監督の映画を最初に見たのは「吠える犬は噛まない」で、毒のある独特な感じが、将来期待できそうな人だなあと思っていて、その後に「殺人の追憶」(2003)がドーンと来て、でもその後は、私にとってガツンと来る作品が無いまま数年が過ぎたのですが「母なる証明」(2009)で、こりゃやっぱりこの人凄いわ!と思い、でもまた暫くあまりうーん・・・という感じが数年あって、本作で久しぶりに当たり!でした。
この後の彼の作品も楽しみにしています。

インタビューで樹木希林さんがお好きだったそうで、もし「母なる証明」を日本で撮るなら母親役は樹木さん・・とおっしゃっていたそうです。 
監督は大学時代の家庭教師のバイトの体験(お金持ちの坊ちゃんを受け持って、邸宅の2階にあったサウナ等を見せてもらった)があるそうです。 

パラサイト 半地下の家族 기생충(寄生虫)
監督 ポン・ジュノ
主演 ソン・ガンホ イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ジョンウン、チャン・ヘジン
【2019/12/28 07:55】  コメント(14) | トラックバック(5) | 韓国映画
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コメント

タイトル聞いた時はJハートネットが出てたのを思い出しました~ぁ
1/10公開って聞いたのだけど?もう見ているんですね?
もちろん近くで上映予定ないです(^_^;)
ジョーカーも夕方上映のみで行けなかった
連休TSUTAYAセールがあるようなのでレンタルで何か?借りて楽しみます!
「あん」見ました
latifaさん好評かだったのでテレビで見て泣きましたぁ
樹木希林さんはやっぱり凄い人でしたね
森子  【 編集】  URL |   2020/01/10 09:42   |  TOP ▲ |


森子さん、こんにちは!
コメントありがとう^^

Jハートネット、そういえば最近彼を見てないなあ。
私が見てない映画に色々出てるのかもしれないけれど・・・

パラサイト、そうそう最近公開になったよ。地域によっては、少し早く公開してくれてる映画館もあったり、試写会もあったからね。

> ジョーカーも夕方上映のみで行けなかった
そっかあ・・・残念ね・・・。でも、もうちょっとの辛抱でレンタル開始だよー。
ホアキン、デモ参加で逮捕されちゃったとか。ベジタリアンなのに体格良いね。

> 「あん」見ました
> latifaさん好評かだったのでテレビで見て泣きましたぁ
わーーい!
良かったーー。これ、私は凄い好きというか、良い映画だなあ・・って思うんだけど、その割にはあんまり・・・な気がするのよね。樹木希林さんの出演してる映画の中では、もしかしてこれが一番な気がするよー。
latifa  【 編集】  URL |   2020/01/12 12:59   |  TOP ▲ |


やっぱりポン・ジュノ監督と是枝裕和監督、描くテーマが似ていると好む女優さんも似てくるんですね。
私もポン・ジュノ監督作品は好きで見てきましたけど、今作が一番濃いものでしたね。
これが世界で大ヒットしているのは、まさに世界の心が貧しくなっている表れではと思っちゃいましたよ。
にゃむばなな  【 編集】  URL |   2020/01/13 00:08   |  TOP ▲ |


にゃむばななさん、こんにちは!
> やっぱりポン・ジュノ監督と是枝裕和監督、描くテーマが似ていると好む女優さんも似てくるんですね。
なんでだか、少し似てる処がありますよね。
私は、怪物系・謎の生き物系のジュノ監督作品は、あまり・・ですが、庶民・貧困描写は昔からとても上手いと思います。

> 私もポン・ジュノ監督作品は好きで見てきましたけど、今作が一番濃いものでしたね。
まさに。彼の総決算作品でしたね!
latifa  【 編集】  URL |   2020/01/13 07:59   |  TOP ▲ |


こんにちは!
「吠える犬~」は未見ですが、私も「殺人の追憶」や「母なる証明」のようなガツンとくる映画大好きです!
あと「グエムル~」も好きなんですよねぇ。
どちらの家族も仲良しなのが良かったですよね、悲惨な結末なのに何処かホッコリさせてくれました。
ノルウェーまだ~む  【 編集】  URL |   2020/01/19 19:07   |  TOP ▲ |


ノルウェーまだ~むさん、こんにちは!
ジュノ監督さんの映画、ノルウェーまだ~むさん、お好きなんですね。
そうそう、ノルウェーまだ~むさんのブログのコメントの処にも書かれていらっしゃいましたが、この映画の舞台って、半地下の家もその界隈の下町も、お金持ちの邸宅も、両方セットだと聞いてびっくり!!(私が知ったのは、斎藤工君と監督の対談みたいのをやってて、それで知ったんですけれど)

CGをたくさん使う最近の映画界で、これはすごいことだなあーと思いました(お金も凄くかかるだろうし・・)

アカデミー賞、何か受賞するかしら?^^
latifa  【 編集】  URL |   2020/01/20 15:18   |  TOP ▲ |


昨日観て私にしては早々に書きあげたので修正箇所も多々あるかもしれません。
久しぶりに映画らしい映画に出会えて堪能しました!
しずく  【 編集】  URL |   2020/01/24 12:04   |  TOP ▲ |


こんにちは。
韓国映画らしい韓国映画だったと思いました。こういうガツンとくるヤツが韓国映画っぽい、と思っています。
ソン・ガンホもなにげに冴えないオヤジ役なのに、主役を張ってしまうあたり、凄い俳優さんですよね。
ここなつ  【 編集】  URL |   2020/01/24 12:55   |  TOP ▲ |


ここなつさん、こんにちは

> 韓国映画らしい韓国映画だったと思いました。こういうガツンとくるヤツが韓国映画っぽい、と思っています。
そうですよね!私も思いました。こういうダークでパンチの効いた韓国映画が好きです。

ソン・ガンホといえば、先日年末に録画しておいた「殺人の追憶」を久しぶりに再見していたら、全然変わってないと思っていたのに、いい意味でも貫禄が出て年齢を重ねられたんだなーと感じました。
latifa  【 編集】  URL |   2020/01/25 08:08   |  TOP ▲ |


しずくさん、こんにちは
見たばかりなのですねー。
私は見た直後と、暫くしてからでは、結構感想や、★度が変わって来たりするんですよ。
でも、この映画は暫くたっても、やっぱり面白かったなーと思います。

年末に同監督の「殺人の追憶」を録画しておいたのを最近見た処なのですが、下町というか・・・ごちゃごちゃとした庶民の暮らしぶりとかを撮影するのが、ほんとに得意な監督さんなんだなあ・・と改めて感じました。
latifa  【 編集】  URL |   2020/01/25 08:38   |  TOP ▲ |


息子がお金を稼いであの邸宅を買い取るシーンで、一瞬信じて『良かったね」と思ったのですが、実際は許されるはずがありませんよね。父親は殺人を犯していて終身刑を言い渡されたということでしょう。
でも、あのお父さんの気持ちは痛いほど伝わって来ました・・・。
エンディング曲「Soju One Glass(焼酎一杯)」の声がミスチルの桜井さんに似ていてびっくりしました。調べるとキム一家の長男を演じるチェ・ウシクが歌っていたんですって!
しずく  【 編集】  URL |   2020/01/25 11:18   |  TOP ▲ |


しずくさん、こんばんは!

しずくさん、香りに敏感なんですね。
最近は、強い芳香剤とか、匂いの残る柔軟剤とか、ちょっと行き過ぎてる感があって、その香りで気持ちが悪くなってしまう人も結構いらっしゃっるし。でも、逆に昔より香水をつける人が減った気もするような・・・
なかなか匂いって、ころあいが難しいですよね。

> 息子がお金を稼いであの邸宅を買い取るシーンで、一瞬信じて『良かったね」と思ったのですが
そうそう、私もあれが終わりなのかな?って一瞬思ったものの、違ってましたね・・。
あの後、あの家族は、どうなったのかしら・・・。

> エンディング曲「Soju One Glass(焼酎一杯)」の声がミスチルの桜井さんに似ていてびっくりしました。調べるとキム一家の長男を演じるチェ・ウシクが歌っていたんですって!

これ、もう覚えてなくて、反応できず、残念です。
そうなのね?あの長男君って歌手だったのかー。
latifa  【 編集】  URL |   2020/01/26 19:22   |  TOP ▲ |


「臭い」から綻びが出始めるかと想像しましたが、違いました。
いや~、本当に素晴らしい作品でしたね。
こに  【 編集】  URL |   2021/09/13 07:48   |  TOP ▲ |


こにさん、こんにちは!
これね、本当に良く出来た脚本でした。
ハラハラドキドキもあって、社会風刺も効いていて、
格差社会を扱った映画が近年多い中、特に印象に残る一本でした。
latifa  【 編集】  URL |   2021/09/13 09:01   |  TOP ▲ |


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