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「希望の灯り」「水を抱く女」ネタバレ感想
ベルリンや、旧東ドイツの雰囲気残る場所が大好きです。

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希望の灯り
アキ・カウリスマキ的な雰囲気で、全体的に言葉少なで静かな作品です。
個人的に好きなタイプの映画でした。

殆ど巨大スーパー内でのお話なのですが、たまに入る外の夜の寂しげな風景が凄く良いんですよ。
仕事終わりの誰もいなくなった巨大スーパー、外からそのスーパーを見た時の不思議な感覚、駐車場の外灯、アウトバーンの電燈や車のライト・・・

「未来を乗り換えた男」のフランツ・ロゴフスキさんが主演。この寡黙な役にピッタリでした。ホアキン・フェニックスにちょっと似てるかな・・・。
クリスティアンは、仲間たちと空き巣などで2年刑務所に入れられてたらしいけど、少年犯罪だったので、罪は消されたらしい。
昔の仲間が真面目に働いてる彼の店にやってきて、ドキドキしたけど、そっち系の話ではなかった。ほっ・・・

この職場で働く若くないメンツは東ドイツ時代からの同僚で、みんな優しいのよね・・・。ほどよい距離感があってね・・・。

毎日同じバス停から同じ時間のバスに一人乗り込む。運転手も同じ人で、ちょっと声をかけあったり・・・「今日はいい日だったかい」とかね・・・

好きになっちゃった年上の人妻マリオンは、結構良いお家に住んでいるけど、夫が妻を大事にしてないらしい・・・彼女もクリスティアンに最初から気の有る雰囲気ありありなのよね・・・。

上司のブルーノは、良い人!
いつもは仕事が終わったらそのまま別れるのに、その日だけは、家で飲んで行かないか?って誘ってくれて、初めて彼の家にお邪魔する。妻はもう寝てるから静かにな、って言うけど、ずいぶんキッチンとか荒れている・・・

★以下ネタバレ★
なんと・・・ブルーノ自殺してしまったとのこと・・・。そんな・・・。みんな昔からの同僚もショックを受けていて・・。
クリスティアンはマリオンのお家を花束持って訪問したけれど、お留守みたいで・・ドアが開いてたからって入っちゃうのはマズいでしょうー。しかもシャワー浴びてるって、どんだけだよー!笑
マリオンはまた職場に戻って来て、クリスティアンとは良い感じになりそうな予感。
以上

希望の灯り (2018/独)
In Den Gangen
監督 トーマス・ステューバー
脚本 クレメンス・マイヤー / トーマス・ステューバー
原作 クレメンス・マイヤー
出演 フランツ・ロゴフスキ / ザンドラ・ヒュラー / ペーター・クルト / アンドレアス・ロイポルト / ミヒャエル・シュペヒト / ラモナ・クンツェ・リブノウ / ヘニング・ペカー / マティアス・ブレンナー / クレメンス・マイヤー

あらすじ とあるドイツの巨大マーケット。その飲料部門に新人のクリスティアンが働き始める。先輩のブルーノは、仕事のイロハや、フォークリフトの使い方、細かなルールなどを教えてゆく。ここで働く従業員は旧東ドイツの出身者が多い。
ある日クリスティアンは、向かいのお菓子部門で働く年上の女性マリオン(ザンドラ・ヒュラー)に心魅かれる


水を抱く女
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クリスティアン・ペッツォルト監督の映画ということで楽しみにしていました。監督の「東ベルリンから来た女」(2012)がとても良かったので、その後、「あの日のように抱きしめて」まずます、「未来を乗り換えた男」イマイチ・・を見ています。
またヒロインのパウラ・ベーアさんは、フランソワ・オゾン『婚約者の友人』で凄く良く注目している女優さんです。

予備知識ゼロで見たため、最初のうち、え・・・?って感じでしたが、もしやウンディーネって、人魚伝説的なお話なのかな・・・?って疑いを少し持って鑑賞。正直1回目見終わった時は、微妙な印象でしたが、ネットで解説的なのを読んで、色々納得・・・。
人魚姫のその後を描いた作品という位置付けとのこと。翌日2回目鑑賞。解った上で見ると理解度高くなりました。

最初別れ話の現場から始まります。イケメンだが冷たい男と、殺すって言う怖い女性。
その後、彼女がベルリンの都市計画等の解説員の仕事をしているのが解ります(この説明がなかなか興味深かったです。元々、ベルリンには行ってみたかったし、東ベルリンの街並みとかにも興味があったので)
そこで、昔ベルリンは沼だった、という処からも彼女が凄く昔からここに根付いている存在だったりするのかなーと。

で、隣のカフェで別の男性から声をかけられて、ちょっとしたはずみで、でっかい水槽が割れて水びたしになる。この時の彼女がとても美しくて、はっとさせられます。いきなり恋に落ちる二人。しばらく、いちゃいちゃが続く(今まで見た他の映画で、孤独な印象のご両名だったので、あ、この人たち嬉しそうに笑っている、良かったなあーなんて思ってしまったわ)

★以下ネタバレ★
ある日、カップルとすれ違う。元彼と新彼女だった。その時の彼女の鼓動から、クリストフは察していたみたいで、その後電話で彼女を問い、、雰囲気悪いまま電話を切ってしまいます。暫く後、彼女が本当の事を留守電に入れるも、彼から返信がありません。
意を決して彼の元に翌日行ってみると、なんと謎の事故で彼が昨日の午後から脳死状態になっていると解ります。
ちなみに、クリストフのあの場所って、ベルリンから4時間以上離れているそうで、遠いねえー。
彼が脳死になってしまっている時に電話がかかってきた事も判明し、そもそも事故も通常有り得ない事みたいだし、水の世界の成した事だったんでしょうか・・・。
ウンディーネは元彼(なんでか、一旦元サヤに戻ろうとか言って来たのは、なぜ・・?新しい彼氏が出来たのを目撃して、命の危険を感じたから??誰か解る方、教えて下さい)の滞在先ホテルを訪問しプールで簡単に彼を殺してしまい、その後自分も水に入って死んでしまいます。その後、脳死だったはずのクリストフはいきなり蘇ります。
杖をついて彼女のゆくえを探すも見つけられず・・・。
そして2年後、いつもクリストフの側にいてくれた女性とカップルになっており彼女は妊娠中です。
久しぶりに潜った彼はウンディーネの幻に出会うのでした。
以上

全編通して音楽は、バッハのシンプルで哀愁あるピアノ曲。すっごく素敵で好みだったわー。
マルチェッロ「オーボエ協奏曲ニ短調」を J. S. バッハがチェンバロ用に編曲した「チェンバロ協奏曲 ニ短調 BWV974」の第2楽章「アダージョ」

で、関係ないのですが、もしもご存知の方がいらっしゃったら、ぜひぜひ教えて欲しい事があります。この写真によく似た映像の場所なのですが、
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たぶん1,2年前までは普通にyou-tubeで見れていたU2か、デビッドボウイか・・・の音楽動画(現在無くなっちゃったみたい・・)で、最初の方で入るシーンがあって、ちょっと画像が荒くて昔の古い画像です。勝手に私がベルリンだと思い込んでるんですけれど、帝国主義的な雰囲気がありありで、夕焼けか朝焼けでオレンジがかった空に2本の高い塔が立っている風景なんです。同じ画像を確か90年代前後の誰かU2かな・・のLPの表紙にも使われていて(調査したが解らず) あれはどこなんだろう?と、調べ尽くしたものの解らず、ずーっと長い間気になってるんです。情報が少なくてすいません!

ちなみに上の画像は、東ドイツ時代の雰囲気を残すカール・マルクス・アレー(Karl-Marx-Allee)
国の権力をアピールするために造られた社会主義様式の巨大建築物が並び、「スターリン大通り」とも呼ばれていました。
現在は路が文化財に指定されており、東ドイツがそのまま遺されている貴重な場所です。

水を抱く女 (2020/独)
Undine
監督 脚本 クリスティアン・ペッツォルト
出演 パウラ・ベーア / フランツ・ロゴフスキ / マリアム・ザリー / ヤーコプ・マツェンツ / アネ・ラテ・ポレ / ラファエル・シュタホヴィアク

あらすじ  ベルリンの博物館で働く都市研究員ウンディーネ(パウラ・ベーア)は、ヨハネス(ヤコブ・マッチェンツ)から別れ話を切りだされた直後現れた潜水作業員クリストフ(フランツ・ロゴフスキ)と恋に落ちるが・・・。ベルリン国際映画祭 最優秀女優賞受賞。
【2021/09/26 09:56】  コメント(9) | トラックバック(4) | ドイツ・デンマーク
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コメント

「水を抱く女」
いつか観たいと思ってリストに載せています。

「希望の灯り」
地味ながらほんわか優しい映画でしたね。
ただ、上司の自殺は哀しかったです。
私もこんな映画が好きです^^
こに  【 編集】  URL |   2021/09/26 12:53   |  TOP ▲ |


おはようございます!
原作本の情報ありがとうございました!!
古書扱いのサイトばかり見ていてアマゾンはチェックしてませんでした。
勿論ポチっとしました♪
本当に感謝感謝です<m(__)m>
こに  【 編集】  URL |   2021/09/27 07:57   |  TOP ▲ |


こにさん、こんにちは!
水を抱く女は、凄いオススメってわけじゃないけれど、見る前に
人魚姫をかるーく復習しておくと良いかもです。

希望の灯り
こにさんは劇場鑑賞だったのかな。
目立たない映画だけど、こういう作品が私も好きです。
同じで嬉しいです。

そーなんですよ・・・
あの自殺だけは、ちょっと辛くて悲しかったです。

amazon情報、お役に立てて良かったです♪
latifa  【 編集】  URL |   2021/09/27 21:23   |  TOP ▲ |


こんばんは。
「水を抱く女」私も観ましたよ~。
ペッツォルト監督の映画は外せませんよね。

水の精ウンディーネは小説や童話、映画もいろんな風に取り上げられてるけど、監督の取り上げ方、見せ方もすごく魅力的で良かったわ。
彼女がガイドするベルリンの歴史も興味深かったよね。

振った男、彼女に新しい相手が出来て惜しくなったのか?なんでしょう?
でも全然愛情が感じられないタイプだったよね。

「希望の灯り」もぜひ見て観たいな~。
  【 編集】  URL |   2021/11/24 19:04   |  TOP ▲ |


瞳さん、こんにちは!
ご覧になったんですねー。
うん、うん、この監督さんと、この女優さんは、これからも追って行きたいなー♪

そうっかー、ウンディーネって結構色々な作品で取り上げられてる題材なのね?

振った男ね、どういう意味で又より戻そうみたいな感じでやってきたんだろうね。
前に調べた時に、どなたかが(彼女が新しい彼といる処、元彼とすれ違ったから、元彼が彼女に心変わりされて自分が殺されると困ると焦って様子を見に来たんじゃないか?って説を唱えてる人がいわ)

希望の灯り、地味だし暗いけど、結構良かったですよ!
latifa  【 編集】  URL |   2021/11/25 13:47   |  TOP ▲ |


こんばんは。
「希望の灯り」コメントありがとう。

なんていうか独特な雰囲気のある作品でしたよね。
職場の人たちの距離感も、近すぎないんだけど、優しく見守ってくれてるような。

>外の夜の寂しげな風景が凄く良いんですよ。
わかる~!!なんていうことのない風景なのに、印象的でとても良かったわ。

ブルーノはショックでしたよね。
あの後、クリスティアンが職場で「切るな」と言われた紐を手にしてじっと見てるシーンがあって、えっ!?まさかこれで!?とか想像してハッとさせられちゃいました(>_<)

フランツ・ロゴフスキさん、確かにホアキンに似てる~。
彼は元ダンサーなんですってね。
  【 編集】  URL |   2022/07/27 21:22   |  TOP ▲ |


瞳さん、こんにちは!
コメントありがとう!

>あの後、クリスティアンが職場で「切るな」と言われた紐を手にしてじっと見てるシーンがあって、えっ!?まさかこれで!?とか

ええっ!そこ、気がついてなかった・・・
今から見直したいけど、もう手元に無いな・・・。

悲し気な映画や風景、雰囲気が好きなので、この映画も暗いけど好きでしたー。

原作なんだけどね・・・そんなんでも無かったんだよね・・・。
短編が幾つか入ってる本なのだけれど、あえて読まなくてもいいかも・・・


え!彼ってダンサーだったの?
マッツもそうだし、そういう人多いのかな(って2名しか知らないけど)
latifa  【 編集】  URL |   2022/07/28 10:07   |  TOP ▲ |


「水を抱く女」
ようやく観れました。
とても良かったです。
「海辺の恋人」とか、伝説、神話、精霊や妖精などが絡むと見入ってしまいます。

ドラマの話
「あたりのキッチン」
たまたま録画されていて観始めました。
これも原作はコミックとか。
最近コミック原作の実写化が多すぎますよねぇ。
「パリピ孔明」は失敗と言われ始めてて残念です。

こに  【 編集】  URL |   2023/10/26 09:10   |  TOP ▲ |


こにさん、こんにちは!
コメントありがとうございます。

そういえばこういう映画、最近見てないなあ。
また見たいなあー。

「あたりのキッチン」
これは知らなかったわー。ドラマ一杯あって、把握できずにいます。

「パリピ孔明」
そうなのね・・。
ヒロインがまずかったかなあ・・・。
あの女優さんって他の作品でも、ここでこの人を使うの?って違和感感じたキャスティングが多い印象。
彼女に合った役を演じていればバッシングも無いだろうに気の毒・・・。
まだ自分じゃ仕事選べないですよね、事務所が力持っていて仕事受けてるんだろうなあ・・・。
latifa  【 編集】  URL |   2023/10/27 08:49   |  TOP ▲ |


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