よくあるヤクザものではなく、中盤以降、落日のヤクザのその後の様子が描かれていて、哀愁がある映画でした。
主役を演じた綾野剛は演技賞ものの名演。 前半はシャブ中毒の父がろくでなしだった事もあり、シャブを嫌っている半グレの山本賢治が、偶然店で行合わせたヤクザの親分を救った出会いから組に入って、闘争で刑務所に入る事になるまでを描いています。 14年後、刑務所から出て来たら、組も世も、すっかり変わっていた・・・ そこからが、この映画の見どころかな・・・。 ★以下ネタバレ★ かつての子分細野(市原隼人)は組を抜け、家族を持ち真面目に働いている。賢治が彼を頼って、会社に入れてもらうのだけれど、同僚がネットに載せた写真から、2人が元ヤクザである事が世に拡散されてしまい、もう仕事を続けられなくなり、尾野さんの職場や娘の学校にまで知れてしまう。尾野さんも社宅を出なくちゃならなくなるし、娘も転校、細野の妻と子供は黙って家を出て行ってしまう・・・・ さて、現在のここら辺地区は、かつて賢治が可愛がっていた行きつけの焼き肉屋の息子翼が仕切っている。この翼を演じた磯村勇斗がすごい、やっぱり若手の中で彼は頭一つ抜きんでる役者の才能の持ち主の気がする。(きのう何食べた?のジルベールとか、大河ドラマ青天~の殿様とか) ただね、ちょっとだけ残念に思ったのが、最後バットを持って殴り込もうとしていたでしょう・・・? 現代の悪童の彼ならば、今風の方法で警察のおっちゃんにゆさぶりをかけるとか、ちょっと何か違った知能犯的な方法でギャフンと言わせる事をしてくれなかったんだろうか?って思ったんですよね。 あと、尾野真千子との部分。すぐ恋仲にならなかった展開は良かったのだけれど、1晩だけで妊娠し、その後もずっと連絡・会ってなかったヤクザものの男が14年ぶりにやってきて、同居してあげるとか、無いわー。 兄貴分の北村有起哉が、組長に可愛がられているケンボウに嫉妬して何かやらかすんじゃないか?と思っていたけど、そうはならなかったですね。でもシャブに手を出していたとは・・・。 ラストシーンも良かったです。父が死んだ港にやってきた娘。そこに偶然いた翼に、父はどんな人だったんですか?と聞くんですよね。 涙 以上 ヤクザと家族 The Family (2021/日) 監督 脚本 藤井道人 出演 綾野剛 / 舘ひろし / 尾野真千子 / 北村有起哉 / 市原隼人 / 磯村勇斗 / 菅田俊 / 康すおん / 二ノ宮隆太郎 / 駿河太郎 / 岩松了 / 豊原功補 / 寺島しのぶ あらすじ 1999年、荒れた日々をおくる賢治は地元のヤクザ・柴咲組組長と知り合い、懐の広い彼を「親父」と慕い、「家族になろう」と盃をうける。2005年、ヤクザの世界で男をあげる賢治だが、抗争が勃発し刑務所に入る。 2019年、14年ぶりに帰ってきた賢治だが、暴対法による取り締まりも強化されるなど柴咲組を取り巻く状況は大きく変わっていた… ・・・・・・・・・・・・ 日本で一番悪い奴ら ![]() 白石和彌監督の映画ということで、前から見たいなーと思って、どこかで放送してくれないかなあ・・・と待っていたけど、やってくれないのでレンタル鑑賞。(これは放映するのは厳しい内容かと・・・) 一応フィクションと最初に出るものの、ほぼ実話ベースであることに衝撃・・・。北海道警察、これはイカン、、、、。 実在の稲葉さんという方のインタビューとか本(未読)があるのに、それでもうやむやになっている警察内部のこととか・・・。 タイトルは、関係していたのにお咎めが無いままになっている警察のお偉いさん達の事を言ってるのかな。 稲葉さんのインタビューの様子 結構男前で、柔道の達人だったというのも納得 グロいシーンが殆ど無いので、見やすかったです。あとダークで重い内容を扱っているものの、ブラックコメディというか、ちょっと可笑しい要素も入れており、豊満なおっぱい披露シーンなども多く、2時間越えですが、飽きずに見れる映画ですね。 本作にも常連の音尾琢真さんが出演していましたが、父親が暴力団関係を扱っていた刑事さんだというのは前にTVで言ってたけれど、主役のモデル稲葉さんと同僚だった!というのにはびっくり。脇役にまた中村倫也が出ていて、その地味さに驚き。 先に新しい作品「ヤクザと家族」を見て、その後本作という逆の順番だったのですが、綾野剛の演技が「ヤクザと家族」の方が更に磨きがかかっていて円熟してるなあーと思いました。 日本で一番悪い奴ら (2016/日) 監督 白石和彌 脚本 池上純哉 原作 稲葉圭昭 出演 綾野剛 / 中村獅童 / YOUNG DAIS / 植野行雄 / ピエール瀧 / 青木崇高 / 田中隆三 / みのすけ / 勝矢 / 中村倫也 / 斎藤歩 / 瀧内公美 / 音尾琢真 / 木下隆行 / 矢吹春奈 / 白石糸 / 松岡依都美 あらすじ 柔道選手として腕を見込まれ北海道警察に勧誘された諸星(綾野剛)だが、刑事としての腕はさっぱりでうだつがあがらない。そんな諸星は、署内トップのやり手刑事の村井(ピエール瀧)から、成績を上げるためには敵の中に飛び込んで協力者(スパイ)を作れと言われ、生真面目にアドバイスを実践。内通者の情報で本部長賞を受ける手柄を挙げた。さらに暴力団幹部の黒岩(中村獅童)と組んだ諸星の成績は、どんどん伸び拳銃検挙のエースとして一目置かれるようになった。やがて、自分の部署の成績を挙げたい上司たちは、そんな諸星に期待をいだき強引な要求をし始めるのだった。覚せい剤使用で逮捕された実在の刑事の手記を映画化。 |
こんにちは。
おおーっ、綾野剛つながりでご覧になったのですね! 確かに「ヤクザと家族」の綾野剛は出色でしたが、「日本で一番~」の綾野剛もとても良かった記憶があります。 「日本で一番~」の方のTBも貼らせていただきますね。 ここなつさん、こんにちは!
コメントありがとうございます。 偶然、綾野剛が主演の映画を続けて見たので、2つセットにしました。 両方とも、名演でした。 ニヒル(死語)な役をやれる若い俳優さんって、あまりいないので、貴重な人材かなーと思います。 古くてご存知あまり無いかも・・ですが、若かった時の根津甚八風というか・・ TBもありがとうございました♪ |
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ここなつ映画レビュー
(2021/05/20 17:12)
綺麗事だけでは済まされない。邦画のヤクザ物といえば、私の中での最高傑作は「竜二」である。いつかこれを超える作品に出会いたいと思いつつ、金子正次の急逝もあり、惜別や多少の思い出補正によって、その出会いは未だ訪れていない。だが本作は、「竜二」に次ぐ位に好きになれる作品だった。偉そうに言うと、良くできた作品だったと思う。何もヤクザの世界を美化している訳ではない。ただ、どんな世界であっても、時代に取...
ここなつ映画レビュー
(2021/05/20 17:19)
「凶悪」の白石和彌監督の作品なので、しかも、北海道警を舞台にした実話に基づくフィクションなので、結構期待しつつ。でもきっと観た後に、どよーんとした救われない気分になるのだろうなぁ、と覚悟して行ったら(「凶悪」を観た後がそうだったので)、あまりそんなことはなかった。具体的な残酷シーンや殺害シーンが無かったからかもしれない。そりゃラストの舎弟や元同僚が迎えた結末は、気持ちのいいものじゃなかったけ... |