本作では、主人公の男性は戦闘現場ではなく、現地の人々や子供を撮影したいという目的で危険地域に入りました。
ガイドも一緒に同行、許可書も持っての撮影だったので、無鉄砲さは感じませんでした。
その後のひどい拷問や暮らしぶりに、かわいそう・・・と思いましたね。
ただ、これは映画の描かれ方からの印象でですが。
映画は最初から最後まで緊張感が途切れず、捕まった主人公のパートと、デンマークで開放に動く家族との2つが交互に描かれます。デンマークの一般庶民が、あれだけの大金を用意するのは大変ですよ。
いろいろ工夫して募金をためたり・・・。
こんなに世話になってしまったら、親や友人知人など一生頭が上がらないよなあ・・・。
もしかしたら、まだ返済したりしてるのかもしれないなあ・・・。
デンマークは身代金は払わない!その大金で過激派組織が武器を買ったりして力を増すから。
でも国が大金を払ってくれるところもあるのよね、フランスとかは、そうだったっぽい・・・。
アメリカ人はどんなにお金を個人が出しても開放してもらえないとか・・・。国籍によっても、また家族がいない人だと身代金も払ってもらえないから殺されるだけ・・とか、さまざま・・・・。
ただ、タイトルで開放されたことが解ってるのは損だったかも。この邦題じゃないほうが、最後がわからなくてもっと良かったんじゃないでしょうか。
そして監禁されているあの状況でもチェスをしようと言ったり、ジョークを言ったりするアメリカ人のジェームス。
ああいう人ってすごいなあ・・・と思いましたね。
★以下ネタバレ★開放された後、アメリカ人のジェームスが殺害されたのを知る・・・。ショックだった・・・。
彼の遺言というかメッセージを、アメリカの葬儀の場で伝える・・・ ラストのテロップで、ほとんどの人が殺されてしまったこと。
彼は非常に幸運にも開放された数少ない一人だったのね・・・ 彼女も戻ってきて復縁し今は子供もいるそうで、何よりでした・・・ 今も世界各地の写真を撮って活動してるそうです。以上
さて、日本で2004年に起きた「イラク人質事件」
3人の被害者は助かったが、危険な場所と解りつつも行った等、自己責任とバッシングを浴びた事件でした。
また、別件で1人の若い旅行者だった青年は死亡。
その後も数年前、2人の日本人が殺害された事件や、何度か拘束されたジャーナリストの男性が、解放後も渡航を希望しているなども・・・。
私個人的には、行く目的に大義があってというのと、冒険心や好奇心で・・っていうのとでは違うとらえ方をしています。
とはいえ、ジャーナリストだったとしても、うーん・・それはどうなの・・?って思う場合もあったりしますね・・・。行くのは自由なんだけど、もしも何かあった時に、国が助けてくれないのは酷い!と怒るのは、どうなのか?と思うんですよ。
そうそう、最近まで新聞の朝刊に角田光代さんの小説「タラント」が毎日アップされていて、その中に、主人公の大学時代のサークル仲間が危険な地帯で拘束され、帰国後国内で激しいバッシングを受ける。ボランティア活動をしていた女性と、野心家のカメラマンの男性の2人を大学時代と、その後を描いていて、主人公も過去にボランティアで中東に滞在した経験があって、幼い兄弟から頼まれたことを親切心からやってあげたものの、その後彼らが行方不明になってしまう、戦士になってしまったんじゃないか・・という不安や後悔をずっとその後持つことになるんですよね。
これら部分がとても読み応えがあったし興味深かったんです。でもこの小説はそれ以外の部分、戦争で片足を失った寡黙な祖父がパラリンピックの少女と実は交流をもっていた、ってのがメインの小説なので、そういう部分は少しだけだったので、もっとそこらへんを中心にした作品を、今後角田さんに書いてもらいたいです
と、余談がやたら長くなりましたが、危険な場所で医療やボランティア活動などをされてる方、前線での様子を報道するジャーナリストの方など、立派で尊敬する人もいらっしゃるんですけれども。
ある人質 生還までの398日
Ser du manen, Daniel
2019年 デンマーク・スウェーデン・ノルウェー
監督 ニールス・アルデン・オプレヴ
脚本 アナス・トーマス・イェンセン
出演 エスベン・スメド トビー・ケベル ソフィー・トルプ