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「すばらしき世界」と「スクリーンが待っている 」ネタバレ感想
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映画と、作成秘話等も書かれていている「スクリーンが待っている」も読みました。
西川美和さんのファンです。本作も凄く良かったです。4つ★半

偶然「ヤクザと家族 The Family」と同じに、主人公が10数年ぶりに娑婆に出て来るという内容です。
ちなみに私は両方とても面白く見せてもらいました。
「すばらしき世界」は、親切な人が多く、世の中捨てたもんじゃないよ、っていうメッセージが強いので、見た後味は良いです。

三上は基本的に優しい良い人なんだけど、頭に血が上るとかっとなって、暴言吐いたり、手が出たり・・・
そんな三上だけど、周りには優しい良い人だらけ。

まずは、身元引き受け人の夫妻(橋爪功さん・梶芽衣子さん)めっちゃ良い人達
「もっとゆるく生きていいのよ」「すべての人に関わって生きることはできないよ」って諭すのよね。

そして「ヤクザと・・・」でヤクザを演した北村有起哉さんが、こちらでは役所の職員!一見冷たそうに見えて、実はちゃんと考えてくれてる良い人だった・・。

中盤で出て来るヤクザの兄貴分とその嫁(キムラ緑子さん名演) 「娑婆の世界はいい事はあんまりないかもしれないけど、でも見える空が広いよ」(ちょっと言葉違うと思うけど、自由だよ、という意味)を言うのよね・・・ この人出演シーンは短かったけど、とても印象に残ったわ。

そしてなんと言ってもスーパーの六角さん!この人は凄い。ここまで親切に出来ないよー。
映画のHPの六角さんとの対談で読んだんですが、西川監督もスーパーの店長エピソードを入れるか否か(良い人過ぎると思われるので)かなり悩んだそうです。でもこのスーパーの店長さんは原作に本当にあったお話なんですってね・・・。

せっかく仲良くなったのに、三上がTVの取材受けてるって話しを心配して忠告したら激怒されちゃったのよね・・・ 普通ここで決裂でしょう?ところが、久しぶりにスーパーに来た三上が介護施設で仕事することになったって言ったら、良かったじゃないー!って凄く喜んでくれて、優しい笑顔でねえ・・・ しかも事務所で頭金に使いなよって封筒に入ったお金をくれる。あげるんじゃないよ、返してねって、、、その後、みんなでお祝いだよー、黄色い自転車まで買ってくれてた・・・。

そうそう、元妻の安田成美。彼女の方から電話がかかってきて、凄く優しいのよー、今度デートしよ!会うのが楽しみ!って言って来るし・・・。 
ライターの津乃田(仲野太賀)も途中から仕事を超えた感情を持つようになって「三上さん、もう元に戻らないでくださいね」って涙ながらに背中流されるし・・・。
こんな良い人ばかりいるわけないよーそんな世の中甘くないよーって少し思いながらも・・・


後半、三上が何かしでかすんじゃないか・・・と見ていてハラハラドキドキでしたよー。

★以下ネタバレ★
介護施設で働き始め、イキイキとしてくる三上さん。見てるこっちも嬉しくなる。
花壇の手入れをしている時に鼻水がたれてるアベ君の鼻水を手で拭いてあげたり、優しいなあ・・・。
そのアベ君がイジメられてるのを目撃しちゃって、モップを持って殴りかかる・・・と思ったら、このシーンは想像だったのね。ほっ・・・
その後事務所でスタッフさんたちがアベ君を茶化す・・・という場面・・・。おう・・・これは・・・・   
でも、三上我慢したよー。笑顔で受け流してその場に同調した・・・。でも相当我慢してストレスだったんだろうなあ・・ 帰ろうとしたらアベ君がコスモスを持って帰らない?と声をかけてくれる。その時の役所さんのなんとも言えない表情がねー!ここは泣けた!役所さん、演技上手いー!その後家に帰ってすぐ倒れて死んじゃう・・・。ただ、この時の彼の顔が穏やかで少しだけ微笑んでいる様に私には見えた。
以上

すばらしき世界 (2021/日)
監督 脚本 西川美和
原作 佐木隆三 小説「身分帳」
出演 役所広司 / 太賀 / 六角精児 / 北村有起哉 / 白竜 / キムラ緑子 / 長澤まさみ / 安田成美 / 梶芽衣子 / 橋爪功

あらすじ 三上という男は、前科10犯で人生の半分近くを刑務所で過ごしており、人を殺め13年の刑に服し出所してきた。「今度こそ堅気に」と思い、子どもの時に生き別れた母親を探して欲しいと「尋ね人」番組に自分の身分帳を送って応募してきたのだ。

「スクリーンが待っている」
作成秘話等も書かれていている西川美和さんの「スクリーンが待っている」も読みました。

印象に残ったところ

監督が新人だった頃から長年ずっと一緒にやってきたスタッフさんたちの半分位を切って、新しい人達に替えたそうで、この決断と苦悩について、とても大変でもあり辛い気持ちだった様です・・・。
あと、助監督ってすごく大変なお仕事なんですね。知りませんでした。

最初の方の旭川の駅から札幌まで JR で乗るシーンは電車を貸し切って撮影していたというのに驚きました。
JR はじめ、公共交通機関って撮影がなかなか OK 出なくて大変なんですね。
また電車の中にいた外国人観光客もわざわざ東京から呼び寄せてエキストラとして使ったそうです。

あと受刑者の人とのインタビューで、旭川刑務所は新しくリニューアルされており、他の刑務所も、基本一人一部屋になるように昔とは変わって来ているとのこと。複数の受刑者と同部屋の時より、精神状態的にもトラブルも凄く改善されたそうです(そりゃそうだ)

かつて名古屋刑務所の懲罰房に入った事がある人のお話で、そこは後ろ手を手錠で拘束され、食事も犬食いせねばならず、排便も服も着たまま垂れ流し、ホースで水をぶっかけて処置されて、っていうのに驚きました・・・。ひどい・・・。

あと、あの太賀君がまだ無名の新人の頃に既に光るものがあった事、現在もスタッフさんの懐にするっと入って行く特異な性質の人間だと。
【2021/10/07 15:02】  コメント(6) | トラックバック(1) | 日本映画
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コメント

latifaさん、こんにちは~。
この映画すごくよかったよね。。ファーストシーンからもう「西川監督の映画だ!」と思って惹きこまれたわ。
ときどき映る空もきれいだった。。
役所広司さん、ほんと凄い俳優さんよね。マジで演技が神。
そのことを再認識した映画だったわ。
これ観た後役所さんの演技がもっと観たくて、ネトフリで『CURE』観たくらい。
で、latifaさん西川美和監督のファンなんだね。
実は私は少し苦手なんだ、、師匠の是枝監督も同じく少し苦手。
でも、お二人とも新作が出たら絶対に観てみたいと思う監督さんです。
真紅  【 編集】  URL |   2021/10/07 17:46   |  TOP ▲ |


真紅さん、こんにちは!
コメントありがとうー!

真紅さんが是枝さんがちと苦手って言ってたの覚えているよ!
西川さんもだったのかー。
以前、是枝さんの母性に関しての部分を・・って処、言われてみれば・・って、はっとしたんだよね。

そういや本作の西川さんも、女性陣はみんな良い人ばっかりで寛容過ぎやしないか?とは思ったよ。
真紅さんちのインスタで、西川さんの毒気が本作ではあまり無いような・・って私も思ったよ。

役所さんは凄いねー。西川さんの本で触れていたけど、役所さんってセリフ一つとっても、自分がその人間だったら、こういう言葉は使わないんじゃないか?こちらの言葉の方が自然に出るはず・・って監督さんと打ち合わせしたとか。

CUREは、私も昔見たことはあるんだけど(もう忘れてしまった・・)あまりハマって見れなかった記憶がある・・。
latifa  【 編集】  URL |   2021/10/08 09:49   |  TOP ▲ |


『すばらしき世界』は今年を代表する日本映画の一本ですね。
帰りたいと思える大切な場所。その場所を作ってくれた人がいる喜び。スーパーの店長はある意味親代わりだったのかも。
叱ってくれて、喜んでくれて、応援してくれて。たまにこういう人に出会うことがありますが、ありがたいことですよ。
にゃむばなな  【 編集】  URL |   2021/10/09 23:55   |  TOP ▲ |


にゃむばななさん、こんにちは!
お返事遅れてしまって、すいません。

>スーパーの店長はある意味親代わりだったのかも。
確かに。保護司のご夫婦といい、店長といい、親みたいな存在でしたね。

>叱ってくれて、喜んでくれて、応援してくれて。たまにこういう人に出会うことがありますが、ありがたいことですよ。
なかなか叱ってくれる人っていないと思うんですよね、応援してくれたり同調してくれる人はいても。
そういう人を大切にしなくちゃイカンですね。
latifa  【 編集】  URL |   2021/10/11 12:10   |  TOP ▲ |


こんにちは。
週末バタバタしていたので、ご訪問が遅くなって申し訳ありません。
この作品は良い作品だったと思います。役所広司って何やらせても上手いなぁ~!
娑婆に出たばかりの右も左も判らないおどおどした感じと、切れると相手の耳まで嚙み千切っちゃう性格の激しさが同居している所を上手く演じていたし、最後の勤め先介護施設で周りに合わせて自分を押し殺した所など、正に圧巻の演技でした。

「ヤクザと~」よりもこちらの方が後味が良いと書かれていらっしゃいますね。
まあ、いい人の登場が多いですからねぇ。恵まれていたと言っていいんでしょうね。
ここなつ  【 編集】  URL |   2021/10/11 16:23   |  TOP ▲ |


ここなつさん、こんにちは!
お忙しい中、コメント、TB返しありがとうございました♪

役所さん、昔はお役所でお仕事されていたというのが、どうしても信じられません。
最近はTVのCMでも、しょっちゅうお見かけするので身近な俳優さんって感じもしますが
日本映画界でもトップ3人に入る凄い人ですよね。

ヤクザと~も、凄く良くて好きな映画だったので悩みますが、後味という点では、こちらの方が・・・。

そういえば、ヤクザ~も、女性は優し過ぎるというか、そこまで実際は無理でしょー?って展開だったなあ・・・。
latifa  【 編集】  URL |   2021/10/13 12:37   |  TOP ▲ |


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「すばらしき世界」
ここなつ映画レビュー (2021/10/11 16:24)
娑婆に出たら我慢の連続。我慢したからといって楽しい事があるわけじゃない。でも、娑婆の空は高くて広がっています。姐さんが三上に言った言葉だ。これを自分自身に贈りたい。感想は以上である。と、〆たら身も蓋も無いので…本作は、殺人の罪で13年間服役していた三上(役所広司)の服役後の生き様を描いている。ルポライターの津乃田(仲野太賀)が、彼の生活を追って行く。当初三上は、幼少時の自分を施設に置いたきり...


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