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「わたしの叔父さん」ネタバレ感想
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考えさせられる映画でした。
ヤングケアラー、田舎の家業経営、などは世界あちこちで同じような事があると思うのだけれど、
でも、本作は、ヒロインの女の子本人が望んではいないのに、やらざろう得ない、というのとは違うのがミソ。

私には叔父さんは、彼女がいなければ生活できないって程ではなく、叔父さん自身も彼女に自由に好きな事をやってもらいたいという気持ちはあって、デートの前にカーラーを買ってあげたり、マッサージの女性を頼んだり、彼女が寝坊した日にはちゃんと自分で色々用意も出来ていたし。
彼女が自分から望んで色々やりたいと思ってる様にも見えたんですよね・・・

父が兄の後追い自殺(このショッキングな事件の背景や具体的な様子は何も語られない)して、14歳から叔父さんに育ててもらった恩があるとはいえ、高校の卒業の時に叔父さんが倒れたとなると元気な時期は4年程で、そんなに長期ではなく、かつ14歳といえば、もう結構な大人で物心もついていますよね。
いや、小さな頃からきっと叔父さんは、とても良くしてくれて彼女は大好きだったんだろうとは思いますよ。
それでも、この2人の関係が、どうもピンと来ないというか・・・ 彼女がここから離れたいとか、自由になりたいとかって気持ちがある様にはあまり思えなかったんですよ。

初めてのデートで叔父さんも来て3名とか、その後の映画にも3人並んでとか、くすっと笑っちゃったけど、でも心の底からは笑えなかったです。 それでも彼は彼女へのアプローチを続けます。(美人だし真面目だしそりゃあ魅力的だものねー)

★以下ネタバレ★
彼女に送った手紙には何が書かれていたんでしょうか・・・。携帯を使えるようになったけれども、あえて手紙という処が気になる。
監督に、これはどういう意味なんですか?とか手紙の内容は?とか、ズバリ聞いてみたいです。
見てる側の想像に任せる感じで余白がある映画なのだけれど、なんかモヤモヤする・・・。

最後は、彼女が獣医助手とかも諦めて、今まで通りの生活を送る覚悟をつけていました。コペンハーゲンに2泊で行った間に運悪くおじさんが倒れてしまって、それ以後、彼女がより一層かたくなになった感じ・・・。 朝食のシーンで、何か彼女が明るい表情で叔父さんに話かける直前で突然終わってしまいました。
以上

監督は小津監督や日本がお好きだそうで、日本の物が結構色々出て来てました。
見終わった後、実際にあのヒロインの叔父さんだったと知ってビックリ!

わたしの叔父さん (2019)
ONKEL/UNCLE
監督 脚本フラレ・ピーダセン
出演 イェデ・スナゴー  ペーダ・ハンセン・テューセン  オーレ・キャスパセン
デンマークの農村。27歳のクリスは、叔父さんとともに伝統的なスタイルの酪農農家を営んでいる。朝早くに起きて、足の不自由な叔父さんの着替えを手伝い、朝ごはんを食べ、牛の世話をして、作物を刈り取る。晩ごはんの後はコーヒーを淹れてくつろぎ、週に一度スーパーマーケットに出かける。
【2021/12/16 09:34】  コメント(6) | トラックバック(3) | ドイツ・デンマーク
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コメント

こんにちは。

そう、ぶっちゃけ、彼女が望んでやっていたのだと思います。
それが故に閉塞感が半端なかったです。
嫌々なのであれば、打開のカタルシスとかが存在する可能性があるけれど、それも無いですしね…
ここなつ  【 編集】  URL |   2021/12/16 10:17   |  TOP ▲ |


こんにちは。
コメント&TBありがとう。

>叔父さん自身も彼女に自由に好きな事をやってもらいたいという気持ちはあって、

そうだったよね~。
カーラー巻いてあげる叔父さん、可愛かったな。
叔父さんが大丈夫だよ、一人でできるから・・・と離れようとしてるのを、彼女はすごく寂しく思ってて。
望んで叔父さんの傍にいようとしてるんだよねというのはすごく感じましたよね。

>小津監督や日本がお好き
北欧でも小津監督、人気みたいですね。小津回しと呼ばれるカメラワークがあるとか!

そうそう、本物の叔父さんだったの、ビックリですよね。すごく自然だったな~。
  【 編集】  URL |   2021/12/16 17:06   |  TOP ▲ |


ここなつさん、こんにちは!
コメント、TB返しありがとうございました。

閉塞感ありましたよね・・。

この監督さんが、小津監督ファンとのことで、結婚せずに父の側でずっと暮らしているお話等が頭をよぎりました。
私は小津監督の映画って、どうもピンと来なくて・・・。
世界でとても高い評価されているようですが・・・。
latifa  【 編集】  URL |   2021/12/17 08:30   |  TOP ▲ |


瞳さん、こんにちは!
コメント、TB返しありがとうございました。

叔父さんとの2人暮らし、同じルーティーンなんだけど、ちょこちょこ違っていて、
じっと見てないと、うっかり見逃す些細な変化がありましたよね。

小津監督ね、、、こんなに世界で評価されているのに、私・・なんだかピンと来なくてね。
若い時見てイマイチで、その後、年取るごとに何度か再トライしてるんだけど・・・。
latifa  【 編集】  URL |   2021/12/17 08:34   |  TOP ▲ |


latifaさん、こんにちは~。私の親バカ記事にコメント&TBありがとう(笑)。
そうだね、、、いろんな意見があると思うけど、こういう生き方もある、っていうのが全てかな。
とても静かな作品で、、、。私はやさしい映画だと思います。みんなが互いを思い合っているよね。

小津監督の作品、私も全然観たことない。
小津監督だけじゃなくて、溝口監督とかも。古い映画ってあまり知らない。
黒沢監督の作品をちょっと観たことあるくらい。
世界に評価されている(そしてこの映画のように影響を受けた作品を生み続けている)作品群だから、観ておきたいとは思っています。
真紅  【 編集】  URL |   2022/01/18 19:06   |  TOP ▲ |


真紅さん、こんにちは!
いやいや解るよー 我が子がこういう作品を上位にあげるんだ・・・っていうの。
この映画を中高年じゃなくて、若い子が、っていうのも、更に。

>赤チェブを蓬莱の蒸し器に乗せてる
まさに、それよ。真紅さんちに行くたびに、あの画像が目に入り、その時についつい551が頭に浮かぶ・・って流れなの。
そうか大阪でも並んで買わなくちゃいけないんだね。だって安くて美味しいもんなあ、それも解るよ。

ライトハウスは、近く感想アップするけど、私もあんまりハマれなかったんだ。

それと古い映画。私も母国の映画なのに、あんまり見てないのよ。
字幕が欲しいよー、聞き取れない事凄く多くて、見るのがかなりキツイんだよ・・・。
黒沢映画も幾つか見た事があるけど、少しだし、溝口さんは1,2個見た程度です・・。
海外の人にマニアの人がたまにいて、嬉しいけど、手放しで嬉しく思えないという複雑な心境・・。
latifa  【 編集】  URL |   2022/01/19 11:34   |  TOP ▲ |


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