「キャタピラー」感想
ずっと見たかった映画、やっとレンタル開始になったので速攻で借りて来ました。
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製作側の熱意みたいのがビシビシ伝わって来る作品でした。1時間半弱と短い映画とはいえ、引きこまれて集中させられる吸引力も、なみなみならぬものがありました。

しかしながら、何度も同じ様な回想シーンが流れる処とか、その他・・・、なんとなく古くさい昔の邦画・・・な印象を受けました。天皇陛下の写真が、これみよがしに何度もアップになるのも、なんだかなぁ・・・という気も少々・・・。別に右翼でも左翼でもない私ですけれど。

残念だったのは、もともと夫が人としてどうよ・・?って人だった事でした。一般的な人だったら、気の毒に思えたのだけれど、中国で強姦や虐殺をしたり、妻に毎日暴力をふるっていたり、子供が出来ない事に対して(自分の方に理由があるかもしれないのに・・)暴言も吐いていたし。
ごく普通に暮らしていた夫婦で、夫が戦争からあの体になって帰って来てしまったが故の妻との変化・・・みたいのを期待していただけに・・・。あんな夫じゃね・・。

それでも、主役の2人の迫真の演技は素晴らしかったです。賞を取るのも納得。特に寺島しのぶさんは圧巻でした。妻の微妙な心理や、その時その時で揺れ動く感情などは、本当に素晴らしく演じられていました。

軍神様をリヤカーに乗せ外に連れだして(妻の夫に対する密かな虐待ですよね・・)、村の人たちから「立派な奥さんだ」と褒められる事で妻は少しは気が晴れるが、夫は見せ物になり惨めな思いが・・・。最初はしつこく要求してきた夫に渋々相手をしていた妻が、ご褒美という名目で自分から積極的になり、しかし夫は戦火中に自分が行った残虐な行為のフラッシュバックから、それを恐れる様になり、妻は苛立ち・・という変化などはとても興味深かったです。

そういえば、夫は口がきけず耳も聞こえないという設定でしたが、口にペンをくわえて文字書いたシーンがあったので、会話は出来なくても、筆談で会話しあえばいいのに・・って思いました。最初は下手でもがんばれば上達出来たと思うし・・・。少なくとも奥さんの書いた文字は読めるわけだし・・・。

途中で、妻が怒りまくった後、すっと何か憑き物が落ちた様に妻が「食べて寝て、食べて寝て、それだけでもいいじゃない2人で生きて行きましょう」と言うシーンでは、なんだかんだありつつ、2人なんとかやって行けるんじゃないか?と思ったのですが、

★以下ネタバレ 白文字で書いています★
結局旦那は自ら家の側にある池で自殺しました。頑張れば自分で移動出来るんですね・・。
申し訳ないけど、これで妻は自由になれる・・・と、ほっとしてしまいました。
以上

ラストに、元ちとせの「死んだ女の子」が。これは去年だか一昨年だか、かなりTVなどで紹介されていた曲でしたね。この映画の元ネタらしい、江戸川乱歩の「芋虫」も近々読んでみようと思います。
3つ★半(★の殆どは、主役2人の演技に対して)

キャタピラー (2010/日)caterpillar
監督 若松孝二
出演 寺島しのぶ / 大西信満 / 吉澤健 / 粕谷佳五 / ARATA / 篠原勝之
【2011/04/11 18:03】  コメント(14) | トラックバック(6) | 日本映画
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コメント

熱意は凄いです。何しろ若松監督ですからエネルギーが^^;
舞台挨拶でも俳優そっちのけで喋り倒してましたしね。(笑)パンフレットにサインしたから買え買えってあんまり言うんで買っちゃいましたよ。一応監督と寺島しのぶ・大西信満の直筆サイン入り。(爆)
問題作なのは間違いないし、受け止め方も色々あるのだと思います。ただ、監督の言うとおり銃後の戦争だってあるんだぞ、これも戦争だ!ってのはよく伝わって来ました。
KLY  【 編集】  URL |   2011/04/11 22:35   |  TOP ▲ |


latifaさん、こんにちは~。コメント&TBありがとうございました。
この映画ね~、観た後しばらくどんよりしたわ~。
確かに、ダンナさん酷い奴だったけど、あの当時はこれくらいが普通だった気もするわ。
男尊女卑だし、三年子無きは、、、みたいな。
ホント、戦争の異常さを描いた映画だったね。。思い出すとまたどんよりだわ(爆)。
元ちとせの歌がね~、またどんより倍増なんだこれが。。。
真紅  【 編集】  URL |   2011/04/12 21:17   |  TOP ▲ |


若松監督は受賞による公開日の前倒しの話を蹴ってまで、8月公開にこだわったそうです。
その執念はこの映画に渦巻いてましたね。

ちなみに個人的にはこの時代の夫と妻の関係って、こんな感じだったんだと思いました。
にゃむばなな  【 編集】  URL |   2011/04/12 22:07   |  TOP ▲ |


KLYさん、こんにちは!
若松監督の映画って、私はこれが初見なんです。
でも本作を見た後、色々知りました。 
この位の年代の人って、凄くパワーがある人多いですよねー。

今ふっと頭によぎったのが、池田大作さんでしたっけ・・・?剣岳の監督さん。
寺島さんが美人というのは、今まで気がつかなかったのですが、それというのも、彼女の演じる役の印象を引きずっていたからなのかもしれませんね。私も生で見てみたいな~~!
そういえば、昔、愛の流刑地??とかいう映画を、全部じゃなくて途中数カ所飛ばし見したことがあるのですが、あの時よりも、本作の方が年も重ねておられるのにもかかわらず、体が綺麗な気がしたのは不思議です。
latifa  【 編集】  URL |   2011/04/13 10:27   |  TOP ▲ |


真紅さん、こんにちは!
> 確かに、ダンナさん酷い奴だったけど、あの当時はこれくらいが普通だった気もするわ。
> 男尊女卑だし、三年子無きは、、、みたいな。
そうだよね、言われてみればそうだわ。
家の母の世代も、ここまでじゃあないけど、結構男尊女卑で、女は黙って従って・・・って感じあるしなあ・・・。
映画だっていうのに、つい、大人げなく怒ってしまったわ(^^ゞ

> 元ちとせの歌がね~、またどんより倍増なんだこれが。。。
私、あの歌が使われてるって全然知らなかったのよね・・・
以前、原爆だか、、広島の慰霊祭?、何かのセレモニーで、これを使っていて、その時真剣に見入って(歌詞を聞いて)、辛い歌で・・どんより~だったのよ。
なので、本作のラストにこれが来て、うわぁ~~!って思ったわ・・・
latifa  【 編集】  URL |   2011/04/13 10:30   |  TOP ▲ |


にゃむばななさん、こんにちは!
> 若松監督は受賞による公開日の前倒しの話を蹴ってまで、8月公開にこだわったそうです。
> その執念はこの映画に渦巻いてましたね。
そうだったんですね。
執念や熱意が凄く伝わって来ましたよね。

でも、見終わって知ったのですが、芋虫という江戸川乱歩の作品を題材にしているのに、お金をどうのこうの・・・という問題をスルーした・・とか、なんとか・・・。

> ちなみに個人的にはこの時代の夫と妻の関係って、こんな感じだったんだと思いました。
これ、上で他のブロガーさんも同じ事を言っておられ、確かにそうだよなあ・・・と思いました。
latifa  【 編集】  URL |   2011/04/13 10:33   |  TOP ▲ |


このコメントは管理人のみ閲覧できます
  【 編集】   |   2011/04/13 17:42   |  TOP ▲ |


こんばんは。
ご無沙汰です。
遅ればせながら、その後そちらはいかがですか?

ご覧になったのですね。
たしかにとんでもない夫ですが、そんな体になってもまだ…というのがポイントなのかな。
個人的にはラスト映像はなんだかなかという感じです。
TBします。うまくいきますように。
こまものやJUN  【 編集】  URL |   2011/04/14 20:56   |  TOP ▲ |


鍵コメントさん^^
メガネの修理大丈夫ですか・・?
布団にダイブは私も大好きでしたよ♪ 
今も温泉とかに行ったらやってみたくなります。
latifa  【 編集】  URL |   2011/04/17 09:17   |  TOP ▲ |


こんにちは。コメントありがとうございます。
今工事中で、インポートしても修正しないといけないので、とりあえずTBかけられそうなものから早く直してお送りしています。
ブログの引っ越しはなかなか大変ですし時間かかります(笑)

さてこちらですが、
どうにも中途半端な感じでしたね。
この脚本家さんのお知り合いの方とお話したことがありますが、
「本当はこういう風にしたくなかったけど、監督の意向でこうなってしまった」と仰せだったそうです。
良くも悪くも若松節なんでしょうね。
rose_chocolat  【 編集】  URL |   2011/04/17 10:44   |  TOP ▲ |


こんにちは、JUNさん^^
地震直後は色々関東もバタバタしましたが、最近やっと普通に戻りつつあります。
とはいえ、現在も被災地や原発問題など、問題山積み状態で、どうも気分が滅入っていますが・・・
関西の方は、距離があるので、ちょっと雰囲気違うんでしょうね・・

この映画、勝手に私が想像していた内容より、旦那がしょうもなくて(^^ゞ
とはいえ、主役2人の演技には引きこまれました。
昨日原作の江戸川乱歩の「芋虫」を読んだばかりなんですよ。
とても短い短編でしたが、これを1929年に発表した・・というのは、結構勇気があることだったんじゃないかな・・と思いました。 
latifa  【 編集】  URL |   2011/04/18 10:52   |  TOP ▲ |


roseさん、こんにちは!
いやぁ~楽天ブログさん、、大変ですね・・・。
こんな事になっているとは知りませんでした。
roseさんところ、かなり長い間やっておられるし、記事も一杯あるので、修正や移動など、すごい手間で大変ですよね・・・(T_T)
そんなお忙しい時に来て頂いて、かえって申し訳なかったです・・

> この脚本家さんのお知り合いの方とお話したことがありますが、
> 「本当はこういう風にしたくなかったけど、監督の意向でこうなってしまった」と仰せだったそうです。
えーっ!そうなんですか。。
それにしても、roseさん、凄い!!脚本家さんのお知り合いの方とだなんて~。
そういう裏事情を知ると、作品がまた違って見えます。
latifa  【 編集】  URL |   2011/04/18 11:04   |  TOP ▲ |


latifaさん、お元気ですか?
もう暑くてたまりませんね~6月からこんなじゃイヤになる~

この映画、私もlatifaさんと同じような部分にちょっと引っ掛かりました。
特に、前から夫が妻に暴力を振るっていたという所。
それがあって妻も密かな虐待みたいな行動を取って・・・
という夫婦の愛憎劇が描かれているわけで、
そうなると「戦争の犠牲者」としての姿が弱くなりますよね?
反戦を強く訴えたいなら、その部分は不要じゃないかって思ったわ。

低予算で短期間で製作した風な映画には見えたけど、
確かに製作サイドと主演2人の熱意はすごく伝わって来ました。
YAN  【 編集】  URL |   2011/06/29 16:10   |  TOP ▲ |


YANさん、こんにちは!
あづい~~~。暑すぎます・・・昨日は35度越え。YANさんところなんて、もうちょっと暑そうよね?
きびし~~~~~。

> 特に、前から夫が妻に暴力を振るっていたという所。
そうよねー!同じですね^^
なんか引っかかっちゃう・・・。

> それがあって妻も密かな虐待みたいな行動を取って・・・
> という夫婦の愛憎劇が描かれているわけで、
> そうなると「戦争の犠牲者」としての姿が弱くなりますよね?
> 反戦を強く訴えたいなら、その部分は不要じゃないかって思ったわ。
そうそう!!そうなのよ。
反戦を訴える内容だと思いこんで見たから、あの体になる前に、まっとうな仲良い夫婦じゃなかった・・虐待があったという設定だと、そういう部分が弱くなっちゃいますよねー。
YANさんも同じ風に思ったみたいで、とっても嬉しいな~
latifa  【 編集】  URL |   2011/06/30 09:24   |  TOP ▲ |


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